感染の再拡大(いわゆる第2波)への備え
再び新型コロナウィルスの感染が拡大している北九州市で、PCR検査の対象を無症状の濃厚接触者にまで拡大しています。
>新型コロナウィルスの感染が再拡大している北九州市は、PCR検査の対象を無症状の濃厚接触者にまで拡大し、クラスター(感染者集団)の追跡によって感染者を可能な限り絞り込むなど「第2波」(北橋健治市長)の一日も早い収束に懸命だ。目指すのは感染経路不明者を減らしつつ、早期発見で把握した感染者を治療、周りに接触させないことで拡大を抑え込む「北九州モデル」の確立。第2波は、人口密集地を発火点に都道府県レベルに広がることも想定され、それを「点」に抑え込めるかが今後の課題となってきている。
この4~5月の政府や自治体の対応は、手洗いやマスク着用などの基本的な感染症対策に加え、全国民に不要不急の外出自粛を、イベント主催者に集客催事の開催自粛を、集客を行う事業者には営業自粛を、企業には時差出勤やリモートワークを、それぞれ要請するものでした。学校も、臨機休校を余儀なくされました。その結果、暮らしや経済への影響は、戦後最悪と言えるほど広範囲かつ甚大なものになってしまいました。
感染症が広がり始めた頃は、PCR検査体制が不十分だったことに加え、検査数を増やした結果、陽性者が医療のキャパシティを超えて増えれば、患者を入院・収容する病床が不足し、医療崩壊を引き起こしかねない状況だったことなどから、PCR検査は、感染が強く疑われる患者の確定診断に使うという方針が採られました。ただ、このやり方では、無症状や軽症の人は、感染していても(又は感染の疑いがあっても)、陽性かどうか確認のしようがありません。そこで、感染者がどこにいてもおかしくないことを前提に対策が打たれることになり、とにかく他人と接触・交流しない事が、感染拡大を防ぐ最も効果的な方法として採用されました。経済へ与える影響は甚大ですが、爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を防ぐには、これしかないということで、全国に緊急事態宣言が発令され、人の接触・交流を8割減らそうというキャンペーンが行われました。
私は、次の流行期には、早期に感染者をつき止め、その濃厚接触者や感染が疑われる場所等に必要な対策を徹底して行うことで、感染を封じ込む方法を採るべきだと思っています。そのうえで、重症化リスクが高い層(高齢者や基礎疾患がある方など)への集中的な注意喚起やそういう方が多く集まるところ(病院や高齢者向けの福祉・サービス施設など)へのケアを重点的に行うべきです。この春のように、国、地域、学校等を全体的に閉ざし、人の交流や接触を7~8割抑え込むことは、経済や暮らしへの影響があまりに大きすぎます。そういう意味では、北九州モデルのような取り組みが、岡山県でも必要だと考えます。そのためには、
① PCR検査体制の拡充
② ①によって感染者数が増えた場合の、無症状者・軽症者の収容先の十分な確保
③ 入院による治療・ケア必要な中症者以上を収容する医療機関の病床の十分な確保
が求められます。現在、岡山県は、
①について、一日当たりのPCR検査の上限は80件(40人分)
②について、無症状または軽症な患者を行け入れ可能な施設の部屋数は78室
③について、患者を受け入れ可能な病床は140床(感染症指定病床は26床)
です。それぞれどのくらいの数が「十分」と言えるのかは、専門家による検討に加え、財政的・人的な裏付けが必要ですが、例えば、北九州市のPCR検査件数が、5月28日が117件、同29日160件、同30日136件になっている事を考えれば、①のPCR検査体制だけでも、今の倍の検査が出来る体制が必要ではないでしょうか。民間の検査機関に加え、大学などの研究機関の活用も検討すべきだと思います。また、最近では、PCR検査だけでなく、簡易な検査キットの開発や抗原検査などの活用も進んでいます。それぞれ偽陰性や偽陽性など精度の問題は残るものの、うまく活用することで、PCR検査を補完することができないか、検討していただきたいと思います。
現在、私が所属する県議会会派「民主・県民クラブ」では、上記のような問題意識をもとに、6月定例会の代表質問で「第2波への備え」について質問する予定です。その他にも、新型コロナに関連した質問を、現在、準備しているところです。