国民民主党分党への対応について

国民民主党の玉木代表は、立憲民主党との合流協議について、今月11日の執行役員会後に開催された記者会見で、以下の通り述べました。 2020.8.11 執行役員会後の玉木代表の記者会見

①我が党を解党し、(あ)立憲民主党に合流する議員から成る政党と、(い)これに加わらずに国民民主党に残る議員から成る政党に「分党」する。
② (あ)について、この間の合流交渉において幹事長、政調会長がとりまとめた合流条件に基づき合流する。
③ (い)について、国民民主党に残ることを希望する議員や地方組織のために、法的には新党である国民民主党(※)を設立する。
④ 「分党」に関する手続きは、双方の代表者からなる分党協議会を設置し決定する。
⑤ 上記①~④を、両院議員総会(この会見の後、19日開催が決定)に諮り了承を得る。
⑥ 了承が得られれば、我が党内で分党の手続きを進め、分党が完了次第、両党間で確認した合流条件に基づき、②の合流手続きに移行する。

(※)手続き上は、いったん現在の国民民主党を解党し、新たに二つの新党(立憲との合流新党と玉木新党)を設立するため、玉木新党が「国民民主党」を名乗った場合も、法的には、今ある国民民主党とは異なる新党ということになります。

玉木代表は、分党を決断した理由を、「今の日本には政策提案型の改革中道の政党が不可欠だと信じている。大きな塊を求めてきたが、消費減税など軸になる政策でも一致できなかった。」としています。

私は国民民主党の地方議員であり、岡山県総支部連合会の幹事長ですが、自身の「今後の身の振り方」については、現時点で「態度保留」であることを、まずはお伝えしておきます。熟慮の末、進路を決めかねているというより、今回の「分党」に関して、現時点でわからないことや決まっていないことが多すぎて、判断のしようがないというのが実情です。

まず、玉木代表のおっしゃる「分党」が、正式な党の方針として了承されていないことがあります。それどころか、両院議員総会に提案する議案を決める執行役員会の中でさえ、確認されていないという意見もあります。執行役員会のメンバーである泉健太政調会長は、玉木会見の後、記者団に対して、分党案は役員会で了承されていないとの認識を示し、ツイッターにも 「このような『分党』のあり方を、党執行役員会として了承はしていません。来週の両院議員総会で議論されます」 と書き込みました。また、津村啓介衆院議員は、ツイッターで 「分党ではなく解党で、党自体が無くなるので残る人はゼロ。大半の同僚議員が、他の野党の仲間と作る合流新党に参加します。玉木さんは独自行動」 などと主張。そもそも分党自体が了承されておらず、立憲との合流新党に参加するメンバーこそが党内主流派であり、玉木代表が孤立していることを示唆しています。
今回の玉木会見の主要な論点のうちの、最も重要な「分党」という提案が、党の決定事項として受け入れられるのか、見通しが立っていません。党として分党を認めず、原則、全議員が立憲との合流新党に参加するという方針が確認されれば、玉木新党云々の話は、まさに玉木代表の「独自行動」ということになり、党内議論に付すべき事案にならない可能性があります。この場合、④の分党協議会は設置されないでしょうし、玉木新党への党の資産の分配や地方組織等の継承も困難になると思われます。
今後について考えるうえで、ここは大変重要な論点です。分党に関する党の方針が決まらない中で、結論を出すことは難しいです。

もう一つは、私が所属する産業別労働組合UAゼンセンの方針が定まっていないということです。私は、UAゼンセンの組織内議員ですから、組織人として、組織の方針を踏まえ対応することは当然です。労働組合は、政策制度の実現のために政治と関わるというのが基本にあるため、UAゼンセンなど国民民主党を支持する6つの産業別組織は、政策重視で対応することになるはずです。玉木新党は、国民民主党の理念、政策を引き継ぐということですが、合流新党の方は、公表しているのは綱領案だけで、安全保障、憲法、消費税、原発など、重要政策に関する基本方針が必ずしも明確ではありません。また、「反共産」を掲げる連合系の民間労組としては、合流新党と共産党との距離感も気になるところです。具体的な個々の政策は新党結党後に議論するということだと思いますが、6産別としても、合流新党への対応を考えるにあたり、どうしても確認しておきたいことがあるでしょう。そのような政策論議の中身も含め、連合やUAゼンセンの対応を見極めたうえで、私自身の進む道も考えていきたいと思います。

さらに、政治的な盟友でもあり、友人でもある津村啓介衆院議員との関係も判断材料の一つになります。私の初当選以来、高橋雄大岡山市議会議員とともに、国・県・市が連携して地域の政策課題を解決していくという方針で、協働で様々な取組を進めてきました。同じ事務所に同居させていただき(家賃は払っていますが)、日常活動も、それぞれの選挙でも、緊密に連携してきました。連携によるシナジー効果も、十分にあったと思っています。津村さんは、すでに立憲との合流新党への参加を表明されています。合流協議への向き合い方には多少の違いはあったかもしれませんが、政治姿勢や政策に大きな違いがあるわけではなく、袂を分かつようなことはしたくないのが本音です。ただ、どのような結果になっても、それぞれ政治家の判断として尊重し合える信頼関係は築けているものと信じています。お互いの考えを、腹を割って話し合いたいと思います。

あえて個人的な思いを述べれば、私は、「提案型」「改革中道」という党の政治姿勢や立ち位置に一貫して共感してきましたし、党内会議では、理念や政策の一致のない合流では国民の理解は得られないということも申し述べてきました。安全保障や共産党との距離感なども合流に当たっての検討課題ではないか、と交渉ハードルを上げる提案をしたこともあり、合流推移派の方々からは鬱陶しく思われていたかもしれません。そういう面では、玉木代表と思いを共有しているという気持ちは強いです。

他方で、今回の玉木代表の言動に、手放しで拍手を送る気持ちにもなれません。「大きな塊をつくる」という方針のもと、幹事長などが合流交渉を積み重ね、一定の交渉成果をあげてきた最終局面で、代表自らが卓袱台をひっくり返してしまった感は否めず、当惑しているのも事実です。政権交代に向け、小選挙区の選挙に勝ち抜くためには、野党が巨大与党に対抗できる「大きな塊をつくる」ことが、選挙戦略上求められることは自明であり、だからこそ、国民民主党と立憲民主党は、これまで統一会派や合流協議を通じて、信頼関係の醸成と合意形成の仕組みづくりを進めてきたわけです。「分党」では、人数の構成は変われども、やはり複数の塊(多分、大小二つの塊)が併存することになり、2017年に民進党が分裂して以降、民進党、国民民主党が掲げてきた「大きな塊づくり」は道半ばということになってしまいます。一連の経緯を考えると、道半ばというより、頓挫したと言った方が正確かもしれません。裏話や大人の事情みたいなことはよくわかりませんが、もう少し何とならなかったものか、と思えてなりません。私たちが大切にしてきた国民民主党のDNAを「大きな塊」の中に根付かせ育てていく、その中心に玉木雄一郎がいる、という絵姿は、もはや描けなくなってしまいました。

以上、縷々申し上げてきた様々なことが明らかになった時点で、後援会はじめ支援者の皆さんと相談し、自分自身の対応を決める所存です。もちろん、どのような選択をするにしても、最後まで国民民主党岡山県連幹事長としての職責を果たすのは当然です。県連の立候補予定者の皆さんや職員の皆さんの今後についても、最後まで責任をもって対応していきます。

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