読書日記 伊坂幸太郎『逆ソクラテス』
伊坂幸太郎の短編集『逆ソクラテス』を読了。
収められた5つの短編すべてが小学生が主人公の話なので、文章も平易でテンポが良く、数時間でサクッと読めました。
話のテーマやモチーフは重松清っぽいですが、洒脱な会話やストーリー展開、伏線が回収されていく心地良い感じは、まさに伊坂ワールド。一つの話に出てきた登場人物やエピソードが別の話に登場するなど、緩くリンクさせて読者をニヤッとさせるのは、伊坂が短編集でしばしば使う得意技ですが、今回もその技がさりげなく、かつ大変有効に散りばめられていて、存分に堪能させていただきました。
話自体は、小学校の道徳の教科書に使えそうな、人生訓に満ちたお話なのですが、説教臭さや上から目線を全く感じさせない、一級のエンターテイメント作品に仕上がっていました。
ハッピーエンドで、心がほっこりして、少し目頭が熱くようなシーンもあり、読後感は非常に爽やか。
コロナ禍で心が晴れない方も多いと思いますが、そういう方が気分転換に読むには、とてもお勧めです。