岡山県、「デルタ株特別警戒期間」に移行

8月2日、岡山県は、県内の新型コロナウィルス感染状況を踏まえ、岡山市の飲食店などに対して再び営業時間の短縮を要請することを決めました。期間は8月4日~31日。インド由来のデルタ株への置き換わりが進んでいるとして、同期間を「県デルタ株特別警戒期間」に設定。特に感染者の多い岡山市を重点強化区域とし、飲食店の時短営業を含む協力要請に踏み切りました。感染状況を示す指標6項目のうち、4項目がステージ3(感染急増)に基準に達していますが、全体の判断はステージ2(感染漸増)を維持しました。(表1)

県は、人口当たりの新規陽性者数が全国ワーストレベルになった「第4波」の反省から、「第5波」では、ステージ3の入る前に、より強い対策を講じるという方針を示していましたが、その通り、早い段階で手を打ったといえます。

ただ、第4波までの状況とは違い、今はワクチン接種がある程度進んでいます。8月1日時点の岡山県のワクチン接種は、1回目46.0%、2回目33.4%(65歳以上の高齢者は、それぞれ88.7%、82.4%)で、第5波における感染対策では、ワクチン効果をどのように織り込んでいるのか、確認していきたいと思います。

ワクチン接種が進んだことにより、致死率は明らかに低下し、重症化率も低下傾向にあると言われる一方、入院を必要とする症状まで進む割合は減少していないとのデータがあります。新規陽性者の急増ばかりに目が行きがちですが、感染症対策で最も重視すべき「病床のひっ迫度合い」が、第4波以前と比べてどう推移するのか、注視したいと思います。

飲食店への時短要請や酒類の提供時間の制限は、感染が拡大している他の都道府県でも、他国でも行われています。飛沫感染のリスクが高いため、マスクを付けずに長時間会話を楽しむ飲食の場はリスクが高く、お酒が入ると声が大きくなったり、会食時間が長くなったりして、さらに感染リスクが高まるという説明が一般的です。ただ、クラスター発生場所の資料(表2)などを見てみると、必ずしも飲食店のリスクが突出して高いといえないことがわかります。

(表3)は、岡山県の新型コロナ対策本部会議で示された「行動履歴に飲食店等での飲食の履歴のある感染者の割合」のデータです。飲食店に時短要請を行う根拠に一つになっているようですが、これは感染者のうち、2週間以内に外食をした人の割合であって感染原因とは無関係です。外食の相手とか濃厚接触の有無とかも無視されています。例えば家族で食事するのに家庭でも外食でもリスクは同じでしょう。
これまで、政府や自治体は、飲食店こそ「感染の急所」であり、「的を絞った」対応が必要だとしてきました。感染が拡大するたびに飲食店への時短要請などを当然のように繰り返していますが、最近のデータではクラスター発生のトップ3は、職場、学校、家庭内で、飲食店の割合は全体の10%程度です。飲食店事業者の皆さんの理解を得るには、エビデンスを示したうえで、もう少し丁寧な説明が必要ではないでしょうか。
  表1
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