今日の仕事は、楽しみですか。

「今日の仕事は、楽しみですか。」

品川駅コンコースにある数十台のディスプレイに10月4日、一斉にこんなメッセージが掲げられ、その写真がSNSで広がると、「見た人を傷つける」「楽しみでなくても、しなくてはならない仕事はあるのに」などと批判が集まりました。

この広告を掲示したのは、ユーザーベース傘下で人材育成やNewsPicks法人事業などを展開するアルファドライブ。同社は批判を受けて1日で広告を取り下げ、「利用者の方々への配慮に欠く表現だった」と謝罪しています。

このコピーが、駅の通路に1枚~2枚ポスター掲示されていたのであれば、こんな広告もあるんだなとチラ見して通り過ぎるだけでしょうが、コンコースをジャックする形で数十台の液晶にズラーっと掲示されると、かなり威圧感があります。暗に「仕事を楽しまないのは良くない」というメッセージを押し付けられているようで、不快な気持になる人が出てくるのもわかります。人材系コンサルタント会社の広告だけに、「仕事を楽しめないような奴は使えない」という上から目線も感じてしまいます(個人の感想です)。

私自身は、天満屋時代も、連合岡山時代も、県議になってからも、変わらず「仕事は、(苦しいけれど)楽しい」と思っている人間です。仕事を通じた自己実現や社会への貢献に思い入れが強く、質の高い仕事をするためには長時間労働も苦になりません。そういう私でも、他人から「今日の仕事は、楽しみですか。」と問われれば、「余計なお世話」と思ってしまうでしょう。人それぞれ仕事観、価値観は様々で、仕事が好きで好きでたまらない人もいれば、生活の糧を稼ぐために嫌々仕事に出かける人もいるはずです。そして、それは、価値観の問題としては、どちらが良いとか悪いとか、優れているとか劣っているとか、簡単に比べられるものではないと思います(労働生産性の問題としては別の議論はあるかもしれません)。いずれにしても、価値観の領域に土足で入ってくるかのようなフレーズをズラーっと並べる配慮の無さが、今回の失敗を招いたものと受け止めています。

私は、研修などで、毎年、新入社員と交流していますが、この7~8年くらいの間に、新入社員の価値観や仕事観がずいぶん変わったなぁと実感しています。働き方に関して「ブラック」という言葉が定着して以降、新入社員であっても、仕事とプライべートをきちんと区分し、プライベートな時間を重視する人が明らかに増えました。私が会社に入った頃は、特に男性は、「仕事での成功=人生における成功」のような雰囲気が根強かったように思います。今思い出しましたが、当時、私が働いていた百貨店の某アパレルショップのレジ周りに、「仕事と思うな、人生と思え」というスローガンが掲示されていました。良くも悪くも、そういう時代でした。

それにしても、品川駅をジャックするという思い切ったプロモーションが失敗に終わったことは、アルファドライブさんにとっては痛恨でしょう。広報担当者は、今ごろ、社内で肩身が狭いかもしれません。また、このような企画に「待った!」をかけなかった広告代理店の責任も重いと思います。結果的にクライアントの企業イメージを損ねてしまいました。

アルファドライブの広報担当者や、このプロモーションを仕掛けた広告代理店の担当者は、今こう尋ねられたら、どう答えるのでしょうか?

「今日の仕事は、楽しみですか?」

 

 

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