バス路線廃止問題について

 岡山県議会6月定例会は、6月7日に開会し、同12日に代表質問が行われました。私の所属する会派「民主・県民クラブ」では中川雅子議員が登壇し、質問を行いました。

 個々の議員が自分の問題意識に基づいて質問を行う「一般質問」に対し、「代表質問」はその名の通り、登壇者が会派を代表して行う質問です。質問項目の選定から具体的な内容まで会派内の議論を経て決定され、質問原稿はメンバーが分担して書きます。以下、今回の中川議員の質問のうち、私が執筆を担当した「公共交通の存続」についての質疑を紹介し、若干の感想を述べたいと思います。

 <質問>
(1) 両備グループのバス廃止路線届の提出を受け、今年3月、岡山県地域公共交通対策協議会と、その下に実務者レベルの検討会を設置した。検討会では事業者から新規バス路線の認可基準等の問題提起がなされ、協議会でさらに議論を深める予定だったが、両備グループの国への提訴の動きを受け延期された。廃止届の撤回や提訴など、協議すべきテーマや参加者同士が裁判で争う関係になるなど、議論を行う環境が大きく変化している。延期した協議会も含め、今後の協議の場の運営をどうしていくのか?

(2) (1)の環境変化を受け、協議の場は、両備グループの廃止対象路線だけでなく、「公共交通の存続が危ぶまれている地域」全域を議論の対象とすることに異論はないが、対象が広がれば論点がぼやけ抽象論になりがちだ。市町村との連携も含め、公共交通の存続への対応をどのように進めるのか?

<答弁>
(1) 地域公共交通対策協議会は、複数市にまたがるバス路線の維持・確保に向けて、広域的な課題が必要な課題を協議する場であり、今後も、課題が発生した場合は、関係市町村や事業者などを召集し、その解決に向けた議論を行う。なお、今回の両備の事案については、現在、状況を注視しており、同協議会の開催時期は今後判断する。

(2) バス路線の休廃止は、過疎地域に限らず県内全域で発生する可能性がある。このため、県職員が市町村を順次訪問し、バス路線等の公共交通の現況を調査したいと考えており、その調査結果を踏まえ、市町村と連携し、長期的な視点に立った地域公共交通の維持・確保のあり方を検討していきたい。

<感想>
 両備グループがバス路線の廃止届を撤回したため、県は、「複数市にまたがるバス路線の維持・確保に向けて、広域的な課題」が発生している状況はひとまず収まったという認識のようです。廃止路線の代替交通の確保など直ちに対応しなければならない問題がなくなったことに加え、会議の参加メンバー同士が裁判で争う事態になり、円滑に協議を進められる雰囲気ではないという事情もあるのでしょう。「今後も、課題が発生した場合は、関係市町村や事業者などを召集し、その解決に向けた議論を行う」と言っていますが、これは、逆に言えば、広域的に対応すべき課題が発生しなければ、議論は行わないとも受け止められます。「現在、状況を注視しており、同協議会の開催時期は今後判断する」と言う言葉は、協議会の開催を当面見送るということなのでしょう。

 他方で、今後の対応を問われ、「県職員が市町村を順次訪問し、バス路線等の公共交通の現況を調査したい」と答弁しています。関係者を集めた話し合いによる情報共有より、県が市町村に出向いて行って情報を集めるという形で対応するようです。県の役割は市町村への情報提供や連絡・調整、支援、助言などで、個別具体的な取組の主体は市町村です。大半の市町村では、既に地域公共交通の維持・確保などについて議論する法定協議会などが開催されており、県からも担当者が参加しています。緊急に検討しなければならない課題がないのであれば、県が主催する協議会は屋上屋を重ねる対応になりかねないので、県は、市町村の法定協議会等への参加や訪問による実態調査などを通じて各地域の状況を正しく把握し、対応するというのは理解できるところです。「広域に対応すべき課題」が発生しないよう、県には普段からの取組を要望します。

 両備グループは、バス路線の維持・確保に向けた地域レベルの「協議の場」の設置とともに、路線バスの新規参入の認可に対する規制強化を主張されています。議会での議論や記者会見などを通じて、規制のあり方に関して県が見解を示すことはありませんでした。国において検討される課題ではありますが、人口が減少する地方のバス路線を維持していくために、参入や撤退にかかる規制をどのようにすべきか、地方でも検討が必要なテーマだと思います。

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