AIが雇用にもたらす影響について

私は、労働組合役員の立場から雇用・労働問題に関わってきたこともあって、議員になってからも、雇用・労働政策を自分のライフワークと位置づけ、議会でも関連質問を行っています。

このブログでも、雇用・労働問題について多面的、専門的に取り上げ、自分自身の勉強の場にするとともに、皆さんにもご紹介していきたいと思います。

まずは、AIなどの技術革新が、雇用にもたらす影響について、興味深いエッセイを見つけたので、ご紹介します。明治学院大学社会学部の稲葉振一郎教授(以前、岡山大学でも教鞭をとられていました)が、労働問題の専門誌「労働時報」のポータルサイトへ寄稿された文章です。

https://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=77381

>ウーバーなどが代表する「ギグ・エコノミー」と呼ばれる現象は、ひょっとしたらこれまでの資本主義体制の下で支配的な労働取引方式だった「雇用」というやり方を廃れさせ、「請負」の方を主流にしてしまうかもしれない。

>「ギグ・エコノミー」の下では、インターネットの普及と人工知能(を含めたコンピュータパワーの向上)によって、情報収集・処理コストが格段に下がり、労働者を固定的に雇って常に待機させておかなくとも、細切れの仕事をやってくれる労働者を外部から臨機応変に探すことができる。なおかつ、やるべき仕事はあらかじめ具体的に固定されているから、いちいち細かい指揮命令を下さずとも「請負」の形で委ねることができる。ここで個別の仕事を請け負う労働者は、雇用労働者とは異なり指揮命令に服従する必要はない。しかしその代わり、生活を保障されることもない。

>20世紀中葉までは、技術革新についていくためには、企業は一定の中核的労働者を固定的に雇い続けなければならない、と考えられていた。しかし現代の人工知能は(「汎用人工知能」のはるか手前の段階ですでに)、そのような常識を掘り崩しつつある。企業の雇用の在り方、労働の在り方を変容させる可能性があるという点では、人工知能がもたらす影響は、雇用の短期的な減少よりも「ギグ・エコノミー」に象徴されるような構造変化の推進力となっていくことの方が大きいのではないだろうか。

AIの発達で仕事がなくなるとか、コンピューターに人間の仕事がとられるとか、そういう単純な話ではなく、「企業の雇用の在り方、労働の在り方を変容させる可能性がある」というのは、とても重要な指摘だと思います。雇用という一定程度長期持続する社会関係を前提に構築されてきている労働法や社会保障制度、労使関係などがその基盤から崩されていくかもしれないという危機感は、もっと共有されてもいいと思います。

「雇用」から「請負」へという変化が進むのであれば、そのショックは、ジョブ型といわれる欧米の雇用形態より、メンバーシップ型といわれる日本の雇用形態のほうが、より大きい気がします。

技術革新のスピードは目覚ましく、10年後、20年後にギグ・エコノミーがどのように進展し、その結果、どのような労働問題が発生しているか見通せません。ただ、稲葉先生の指摘は、決してSFではないと受け止めています。

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