岡山県の新型コロナ感染対策のフェーズの切替の目安(案)について <その1>
岡山県は、新型コロナウィルス感染対策の緩和に向けた目安(案)を初めて示しました。近く、県の対策本部会議で正式決定される予定です。私は、議会活動やネットでの情報発信を通じて、行動制限緩和の基準を示すことの重要性を訴えてきたので、まずは、この取り組みを評価したいと思います。そのうえで、気付いたことを申し述べたいと思います。
県が感染対策の緩和に向け目安 「活動全面再開」など4段階(山陽新聞デジタル 2020年5月19日)
5月19日に示された「対策フェーズの切替の目安(案)」というペーパーをご参照ください。
目安(案)では、県民の活動状況を、「活動自粛(フェーズ1)」「段階的な活動再開(フェーズ2)」「感染対策と活動の両立(フェーズ3)」「活動の全面再開(フェーズ4)」という4つの局面(フェーズ)に分類しています。(フェーズの番号は私がふりました)。県は、現在の岡山県の状況を、フェーズ1からフェーズ2への移行段階に当たるとしています。
この分類で注意しておきたいのは、フェーズの切替は、〇月〇日まではフェーズ1で、翌日からフェーズ2に移行する、という具合に明確に線引きされるものではないということです。季節が移り変わるようなイメージといえば、わかりやすいかもしれません。ただし、これは状況が良い方向(活動再開方向)に変わっていく場合の話で、悪い方(活動自粛方向)に変化した場合は、必要に応じて、知事が宣言や強い注意喚起を発するなどして、明確にフェーズを切り替える場合もある思われます。
そういう意味では、表の上半分の「目安」と、下半分の「目安」は、多少意味合いに違いがあると考えています。
上半分の「活動再開の目安」は、記載の数値や状況を継続的にウォッチし、それらが好転していること(または高いレベルで維持されていること)を確認しながら、人々の行動が徐々に正常化していくことを見守るための指標です。後退の兆候が見られれば、各種広報などを通じて注意喚起を行っていくのでしょう。
下半分の「活動自粛の目安」は、県民や事業者に自粛要請を行うときの指標になります。人々は行動が制限され、事業者は経済的な損失を覚悟しなければならないわけですから、この「目安」は、状況を定点観測するための指標ではありません。自粛要請を行う以上、何故、自粛が必要なのか、県民の理解・納得を得なければならず、そのためにも「このような状態になったら自粛を要請するよ」という定量的、定性的な基準を決めておくことは重要です。「目安」があることで、県民も事業者も予見性が高まりますし、危険水域が近づいていることが理解できれば、県民が自主的に行動を変える動機づけにもなります。
「目安」の内容を具体的に見てみると、活動再開も、活動自粛も、「①流行状況」「②医療体制」「③その他」(番号は私がふりました)の3つの視点で目安がつくられていることがわかります。大阪モデルや東京アラートなど他の都道府県の基準もそうですが、①と②は、感染症対策の基準づくりには絶対に欠かせない必要十分条件です。活動の再開、自粛のいずれの場合においても、これらを測る指標が盛り込まれるのは当然です。私は、この案に対し異論はありませんが、理解を深める意味で、以下、①、②、③、それぞれの「目安」について、少し掘り下げてコメントしたいと思います。
①流行状況について
岡山県のように感染者が少ない地域では、新規感染者の時系列グラフを見ても、そもそもピークの山が明確にあるわけではありません。2月1日以降の県内の感染者数は25人で、平均すると4~5日に1人くらいのペースでポツリポツリと感染者が出ている状況で、1日の最大の新規感染者数は3人です。大阪や東京のように感染ピークの山が明確に認められ、その勾配が十分になだらかになったポイントを見つけて、そこに基準を定めるという形にはなりません。そういうことを踏まえて、岡山県の目安を検証したいと思います。
「活動再開の目安」として、フェーズ1~フェーズ2では、
(ア)「直近1週間の新規感染者数/その前1週間の新規感染者数」=概ね1未満(つまり、直近1週間の新規感染者が前の週のそれと同程度or上回らない)
(イ)直近1週間の新機感染者が9人未満(国の緊急事態宣言解除基準である「人口10万人当たり5人未満程度」に相当)
を挙げています。(ア)は新規感染者の変化率、(イ)は同じく絶対数で見ていくことになります。このような流行状況を示す指標として、ほかにも陽性率(PCR検査を行った人に占める陽性者の割合)や実行再生産数(ある時点における1人の感染者が平均的に何人に感染させるかを表す指標。これが1を下回れば感染状況は収束していく)がありますが、県内の感染状況は、これらを使って基準をつくるには感染者数があまりに少なく、目安として機能する指標になりそうにありません。(ア)(イ)ともに、シンプルでわかりやすいので、感想状況をウォッチしていく目安としては良いと思います。
同じくフェーズ2~フェーズ3では、
(ウ)(ア)の「概ね1未満」が2週間継続
(エ)直近1週間に感染源不明の新規感染者がみられない
を挙げています。(ウ)は、現在の岡山県の感染状況のような、週に0~2人くらのペースで新規感染者が出るという状況ならノープロブレム、ということでしょう。ウィルスが根絶されているわけではないので、感染者がずっとゼロということは考えにくく、「目安」とつくるとすれば、まぁ、こんな感じになるのでしょう。(エ)は、感染源不明のケースが増えた場合は、知らず知らずに感染が広がる可能性があるため、そこにも目配せしようということだと思います。他都道府県では、新規感染者に占める感染源不明の感染者の割合、などが使われていますが、感染者が十分に少ない岡山県では、感染源不明の新規感染者ゼロを「目安」に置いています。実際には、1週間以内に感染源を特定する調査が終わらないケースもあるでしょうし、感染者が調査に協力的でないなどの理由で感染源が特定できないケースもあるため、運用には幅を持たせると思われます。そういう運用を前提にすれば、「目安」として取り入れることは理解できます。
流行状況を判断するための重要な指標である新規感染者数は、今後、PCR検査や抗原検査などの体制が拡充すれば、検査数が大幅に増える可能性があります(というか、そうすべきです)。その場合、流行状況に変わりはなくても、陽性者数が増える可能性は高く、検査環境の変化のよる新規感染者数の変化をどう捉えるか、今後、議論が必要かもしれません。その場合、過去の陽性率との比較なども検討すべでしょう。
次に、表の下の段、活動自粛の目安を見ると、
(オ)直近1週間の感染者数がその前1週間と比べ急増(クラスターが発生、倍加期間3日程度、5日連続で新規感染者が増加など)
となっています。要するに、新規感染者の時系列グラフの山が盛り上がり、急激な上昇傾向を示すようなら、活動自粛フェーズに切り替えますよ、ということです。第2波、第3波の到来が懸念されていますが、( )内に挙げられた事例も含め、どのような状態になれば、活動制限が再度発令されるのか、イメージしやすいものになっていると思います。
長文になったので、②、③の検証は、明日のブログに持ち越します。
お疲れ様です。岡山県の情報ありがとうございます。抗原検査は積極的に取り組むべきと思います。岡山県の今の検査数では実態が把握出来てないと考えます。是非とも積極的に取り組む方向に導いてください。今朝の新聞で運転免許更新を当面停止するってありました、三密にならない程度の予約制って考えは出来ないでしょうか?再開後の三密はクラスターの大量発生を生むのではないでしょうか⁉️取り組み方の再考が必要と考えます。
他にも再考の必要がある事案があるように思います。
宜しくご検討お願いします。
コメント、ありがとうございます。
仰る通り、PCR検査にしろ、抗原検査にしろ(抗原検査は検査の精度がPCRより低いという問題があるので、運用に一定の慎重さは必要です)、検査体制を整えることは重要だと思います。政府も、「37.5度の熱が4日以上」などの要件を外し、検査対象を広げる方向に転換したので、予算面なども含め対応は強化されるはずです。
ただ、検査を増やすことで陽性者が増えた場合、それに対応できる病床数が確保されていないと混乱を招くので、軽症者・無症状者を収容するための宿泊施設なども含めた医療のキャパシティを拡充することとセットで考えなければならないと考えています。
運転免許更新の件は、確かに工夫の余地はありそうですね。
県警に対応方針等を確認し、前田さんのご意見等も伝えていきたいと思います。
お疲れ様です。
丁寧な返信ありがとうございます。いつも、思いのままにコメントしてしまうのでスミマセン😅
コロナの対策は今まで以上に各方面の協力無くして取り組める事案ではないと思いますが、抗体検査も有効だと報道されてます。一刻も早く体制を整え取り組みを進めて欲しいです。
運転免許更新の件 それでなくても密集しているので、3ヶ月の猶予延長のようですがいつも以上の密集と更新出来ない事態にならないか心配です。
いつも無理難題をお願いしますが 宜しくお願いします。
おはようございます
運転免許センターが今日から再開されるようです。
もっと詳しく確認してコメントするべきできでした。
申し訳ありません。