第2波到来?
本日、東京都では、新規の陽性者数が300人を超えました。
東京都 新たに366人感染確認 300人以上は初 新型コロナ
現下の感染拡大は、公式に(例えば日本国政府が認めるような形で)「第2波」と定義されていませんが、新規感染者数だけを見れば、もう感染第2波に入っていると言っても差し支えないでしょう。
ただ、若者を中心に感染が広がっているなど、第1波とは傾向が異なります。重症者数や死者数も、大きく増えてはいません。
医療体制についても、第1波のように切迫している状況ではないと、少なくとも政府や自治体(東京都や大阪府など)は言っています。(もっとも、これについては、専門家から異論も出ています。 東京の医療体制、「逼迫してない」は誤り 専門家が指摘)
第1波が収束したとはいえ、ウィルスが消えてなくなったわけではないので、経済活動が再開され、人の人との交流・接触が盛んになれば、感染が増えるのは仕方のない事です。加えて検査体制が拡充され、検査数が増えているため、新規感染者数の増だけで、大騒ぎすることは控えたいと思います。感染者の年齢構成、重症者や死者数、感染経路不明の感染者数、医療機関のひっ迫度(空き病床数や自宅療養者数、陽性者のうち収容先を調整中の方の数など)など、総合的に分析する必要があります。
ただし、感染者が増えてくれば、少し遅れて重症者の絶対数も増えます。感染者の大半が若い人だとしても、その数が増えれば、高齢者に遷す可能性も高まります。感染者数が増えている状況を放置すれば、今後、重大な事態に陥る可能性があります。今の感染状況はもちろん、今後の感染拡大のリスクをどう捉え、どのような対策を講じようとしているのか、今の政府の説明では(東京都もですが)、そこがよくわかりません。そういう基本的なことが曖昧では、感染症対策と経済活動との最適なバランスを判断することは困難です。例えば、政府が「Go To トラベル」を正当化するのであれば、今の感染状況の評価に加え、今後の感染拡大の見通しなどについて、エビデンス(科学的な根拠)に基づき説明しなければなりません。「Go To トラベル」によって、感染者の移動が起こり、全国的な感染拡大にさらに拍車がかからないかを、多くの人が心配しているわけですが、行く人も受け入れる観光地も、「新しい生活様式」や業種別ガイドラインに定める感染症対策を講じてれば「まぁ大丈夫だろう」と言われても、説得力がありません。コロナと言っても風邪の一種で、8割の人は無症状or軽症なので、インフルエンザ以上に怖がる必要はないと考えているのでしょうか? それなら、そうと説明すべきです。
私も、観光事業者の皆さんから悲鳴に近い声を聞いており、政府の「Go To トラベル」の意図は理解できますが、東京都を対象から外したとはいえ、今、全国的に人の移動を後押しするような施策を税金を使ってやることには首を捻らざるを得ません。対象期間の再検討や、補助対象を一定のエリア内の移動にとどめるなど、他にやりようはあったはずです。
最も重視すべきは、医療機関のひっ迫度です。医療崩壊につながる可能性が高くなれば、政府レベルでは再度の緊急事態宣言の発令、自治体レベルでは外出や営業の自粛の要請、を検討せざるを得ません。特に医療体制が脆弱な地方では、クラスターなどの発生で感染者が急増すれば、一気に医療体制がひっ迫する可能性があり、余裕があるとは思えません。
もちろん、再度、外出自粛などを要請すれば、強烈な犠牲を伴うことは確実です。社会経済が動くことによって守られている命や暮らしもあります。そこを軽視すべきではありません。難しいかじ取りですが、政府や自治体には、最善の道を選ぶ責任があります。行政のチェック機関である議会にも、同じく重い責任があると思っています。感染症をできるだけ抑えながら、医療崩壊を防ぎ、社会経済活動に与えるダメージを最小化する方策について議論していきたいと思います。